初めまして。一回生の熱男こと土屋です。この熱男というのは僕の筋トレペアである四回生の吉田篤生さんのあだ名に由来すると思うのですが、今まで呼ばれたことは有りません。本人さえ知らないあだ名で人を紹介しないで下さい飯塚君。
さて、この夏最大の山場であった合宿を乗り切った訳ですから、合宿の感想とかリーグ戦へ向けての抱負なんかを書くべきなんでしょうが、そういう現実的な事柄を文章にするのは苦手なのでそこは次の人の丸投げするとして、僕はこの合宿中に見た変な夢について書こうと思います。
僕は教室でテストを受けていた。周りの皆が忙しなくペンを走らせる中僕一人だけが中々手を動かすことができず焦っていると、突然教室のドアが勢いよく開いた。「今すぐ職員室に来い、土屋!」そう怒鳴りながらズカズカと入ってきたのは部活の顧問で、反射的に立ち上がって敬礼をしていた僕は思い切り腕を掴まれ引きずられるようにして教室を出た。職員室には僕以外にも先生に呼ばれたらしいたくさんの生徒が居て、賑やかな話し声で雑然としていたが、先生が話し始めた途端水を打ったように静かになった。「これからお前たちにはできるだけ多くの郵便ポストを探してもらう。一番多く見つけた奴が優勝だ!」次の瞬間職員室は跡形も無くその姿を消し、僕は空に投げ出されていた。降り立った場所はパリとロンドンとスーパーマリオの世界がごっちゃになったような(?)華やかな市街地で、僕は携帯の地図アプリを使いながらポストを探した。ポストまでの道のりはとても長く感じた。灼熱の砂漠を歩いて、ジャングルの木々をかき分け、迫りくる火の玉と緑の甲羅をかわしながらようやく目的地にたどり着いた。そこは昔懐かしい故郷の町だった。辺りはもうすっかり暗くなって、浴衣を着た若者や親子連れなどが皆蝋燭を手に持ちながら同じ方向に向かって歩いていた。暗闇を照らすのは、ただ蝋燭の明かりと星空のみであった。花火とお祭りの狂騒の残り香のような酔いの感覚に身を預けて、僕も皆の後に続いてゆっくりと歩いた。この道の先に、生まれてからずっと探し求めていた物があるような気がした。ポストのことなど、すっかり忘れていた。やがて人々は僕の家があったはずの場所で足を止めた。そこにあったのは東京ドーム何個分かというほどの大きな、全面がガラスで出来たドーム状の建物で、星明りという星明りを反射してまるで白銀の炎に燃え上がっているかのようだった。しばらくその荘厳なたたずまいに見とれていると、向こうの空から何かどす黒いものがこちらの方へ落ちてくるのが見えた。隕石だった。人々は我を忘れて一目散にドームの中へと逃げ込み、僕も遅れまいと慌てて走り出した。この時僕の頭の中には一つ確信があって、それは隕石がこのドームを目掛けて落ちてきているという確信だった。しかしそれが分かっていながら僕の体は、生存本能とは全く違う、もっと理性的な欲求に基づいた力によって駆動されてドームの中を目指すのだ。それほどそのガラスのドームは美しかった。僕がドームの中に入って一面のガラス越しの星空を見上げた途端、パリンッ、パリンッという鋭い音が何重にも重なり合ってスコールのように頭上に降ってきた。人々の悲鳴や叫びはもはや僕の耳には届かず、茫然とその場に立ちすくむ僕と、キラキラと光りを纏いながらゆっくり落ちていくガラスの花びらだけがそこにはあった。まるで時が止まったみたいな世界で、舞い落ちる一片一片のその光の中に、僕は懐かしき思い出の数々を見るのだった…。
いかがだったでしょうか。つい興が乗って無駄に長ったらしい文章をかいてしまいました。すみません。皆さんもいい夢見てくださいね。
お次は福岡から来た料理人草野君です。